2025.8.20

【UPDATER×丹後】SXで丹後ちりめんの更なる可能性を探る機会の共創

– 丹後ビジネスコラボ Case 07 –

丹後リビングラボが市内の事業者やプレイヤー、行政等と協働してテレワーク・ワーケーションプログラムを展開することで生まれた、「市外事業者×京丹後」の共創事例をご紹介する記事シリーズ。第7回は株式会社UPDATER さんと共に生み出した、SXを用いての丹後ちりめんの更なる可能性を探る機会共創の事例です。

2024年6月にオープンしたTANGO OPEN CENTER(丹後織物工業組合)から共創スタート

WHY京丹後?|300年以上の歴史を持つ「丹後ちりめん」に新たな仕組みプラスすることで可能性をひらく

2025 年5月下旬の3日間。東京に本社を置き、〝「顔の見えるライフスタイル」で、社会問題を解決し、世界をアップデートする〟をビジョンに掲げ、脱炭素、ウェルビーイング、エシカル調達などに取り組む企業。

世界最大エシカルファッション評価機関である、Good On Youと事業提携し、商品のサスティナビリティ評価サービスやメディア発信、海外販路開拓をサポートを提供している株式会社UPDATERの2名が丹後視察に来てくださいました。

まずは「丹後ちりめん」を支える2つの施設を視察

今回は300年以上の歴史を持ち、独特の「シボ」と呼ばれる独特の凹凸で多様な表情をつくりだす白生地。日本の絹織物白生地の6〜7割という高いシェアを誇る「丹後ちりめん」の産地。生産者の顔を見える化することでその価値をヨーロッパを中心とした海外の市場でさらに高めることができないか、まずは地元プレイヤーとの対話の中で現状を踏まえ、互いの解像度を上げていく機会として設計しました。

丹後ちりめん独特の凹凸感(シボ)に加え、滑らかな手触り、風合いある純白の絹織物が仕上がる工程に、高い技術を必要とする「精練」作業があります。丹後エリアで織られた生地のほとんどすべてが丹後織物工業組合の加工場で精練されています。組合が運営するTANGO OPEN CENTERで職員の説明を受けながらこの精練工程を見学していただきました。生地の厚みや特性によって、精練の温度や時間を経験をもとに細かく調整し、乾燥、チェック、出荷とすべて人の手で行われる作業が「丹後ちりめん」の品質と信頼を支えています。

TANGO OPEN CENTERを見学した後は、丹後ちりめんの生産現場の現状や課題を踏まえ、今後の可能性について職員とディスカッションを行いました。

その後は、京都府織物・機械金属振興センター を訪問。今年創立120年を迎えるこの施設は、その名のとおり「丹後ちりめん」を中心とした織物業と、その成長とともに発展した機械金属業を中心に、技術支援や人材育成研修等を行う京都府の公設試験研究機関。地域を代表する2つに産業を知識、技術で支えています。

府職員とも意見交換を行い、この日は宿泊施設へ移動。ホテル内の「丹後ちりめん」をテーマにしたコンセプトルームも見学していただきました。

そして個性豊かな生産現場へ

翌日は丹後ちりめんを実際に生産している地元プレイヤーの現場を訪問していただきました。

まずは、丹菱株式会社へ。ポリエステルをメインとした通称「ポリちり」の生地を生産する織元。絹糸を使って通常はおられる「丹後ちりめん」の特徴を表現するため、糸づくりから生地になるまで最低でも2ヶ月という驚くべき手間暇をかけて生産を行なっています。その現場を目の当たりにして、UPDATERのお二人も驚きを隠せないご様子でした。

丹後で西陣織がおられていることを丹後でもまだまだ知らない人が多い中、丹後クリエイティブセンター西陣織あさぎ美術館丹後館を訪問していただきました。

日本最大の絹織物産地で西陣織の西陣織の技術伝承と若手の育成、地元へ貢献できる生産拠点として2025年7月にグランドオープンした施設で、「西陣織」の熟練者が技術指導のもと、次世代の担い手が作品の制作にあたっています。生産現場であり、西陣織を広く伝えるための観光施設的役割も果たしている現場は丹後ではめずらしく、精巧な作品の糸色の多さを目の当たりにできる貴重な場所となっています。

きらびやかな西陣織の世界に触れていただいた後は、日本最古の織物と言われる「藤布」の世界へ。

藤の木の幹から繊維を取り出し、糸づくりから藤布作りまですべてを手がける、遊糸舎。その素朴で力強い生地は自然の力を秘めたエネルギーに満ちあふれ、見る人、触れる人に静かなパワーを与えてくれます。

最後はCreate Ebaraへ。目の前で実際の織機を動かしながらの説明を受けることができ、さまざまな生地を見せていただくことができます。

「丹後ちりめん」「丹後織物」といっても、織元のアイデアや工夫、技術と挑戦によって、グラデーション豊かな産地であることを3日間で実感していただけました。

丹後の織物の魅力に触れていただきた3日間のあと。UPDATERさんからは実証実験に取り組みたいというプロジェクトの提案が各事業者さんにありました。

SX(サステナビリティトランスフォーメーション)は企業が持続可能な社会の実現に向けて、経営や事業構造を大きく変革していくことを意味する、世界的に大きなうねりとなっているものです。

このような事業に国内で先駆的に取り組んでいる企業が、丹後の織元さんと直接対話し、今後の事業展開に多くのアイデアを得て、丹後のファンになってくださったことをとても嬉しく思いました。

【UPDATER共創ツアー 2泊3日スケジュール概要】

・1日目

丹後織物工業組合

丹後織物・機械金属振興センター

・2日目

株式会社丹菱

琴引きの塩

西陣織あさぎ美術館

遊絲舎

・3日目

Create Ebara