【NEWTOWN×京丹後】サウナを起点にクリエイターたちとの出会いを生み、地域の入り口としての「サ旅」を共創

– 丹後ビジネスコラボ Case 02 –

丹後リビングラボが市内の事業者やプレイヤー、行政等と協働してテレワーク・ワーケーションプログラムを展開することで生まれた、「市外事業者×京丹後」の共創事例をご紹介する記事シリーズ。第2回は株式会社NEWTOWNさんと共に生み出した、「サウナをきっかけに丹後とつながる新たな機会創出」の事例です。

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写真:TAKAYAMA | サウナアンバサダー
  1. Why 丹後?|サウナがつないだご縁から

日本は今、空前のサウナブーム。「ととのう」という新たな概念や言葉も生まれ、タナカカツキ氏原作の漫画や、それを原田泰造さん主演でドラマ化した「サ道」の大ヒットは記憶に新しく、サウナはもはやブームと言うより、現代人の健康づくりの新習慣として定着しつつあります。

そんな熱いサウナシーンの仕掛け人である株式会社NEWTOWN代表 片岡大樹さんが、実は丹後が大好きで頻繁に訪れており、2023年には丹後リビングラボと一緒に、丹後の可能性を広げる「サ旅」を2回も企画開催していることをご存知でしょうか。

片岡大樹さん/株式会社NEWTOWN代表。映画や映像の制作事業の傍らサウナ施設のプロデュースも手掛ける。

片岡さんは10年ほど前から、個人的に大のサウナ好き。そのサウナ愛の評判を聞きつけた関係者から、「サ道」が初めてドラマ化される際に制作プロデューサーに抜擢され、ブームの立役者となりました。そしてこのドラマをきっかけに、サウナ施設やサウナイベントのプロデュースも依頼されるようになったそうです。「以前は誰にも共感されなかったものが、今や仕事になっていますから不思議ですよね」と片岡さん。

そんな流れの中で、片岡さんのサウナ仲間が、京丹後市で新たなサウナ施設を開設・運営することになり、知見を活かしてアドバイスがほしいとの依頼を受けて訪れたのが、丹後とのご縁が深まるきっかけだったそう。

そのサウナ施設が、ホテルKISSUIENに隣接したサウナと酵素風呂の施設「ぬかとゆげ」、そして姉妹店である「蒸-五箇サウナ」です。

ぬかとゆげ」はよしおかクリニック院長の吉岡直樹氏がオーナー。コロナ禍をきっかけに人々の免疫力を高めたいと開設。 写真:TAKAYAMA|サウナアンバサダー
五箇地区の築100年の古民家を改装した「蒸-五箇サウナ」。水風呂の代わりに川に浸かる野趣あふれる村のサウナ。写真:TAKAYAMA | サウナアンバサダー

時を同じくして、片岡さんは関西圏での事業の広がりを目的に、京都市内にも会社のサテライトオフィスを置くことにしました。選んだのは二条城付近にある「共創自治区CONCON」という施設の一区画。コンテナ19基と長屋3軒からなるこの施設には、多様なスキルや経験、創造性を持ったユニークなクリエイターたちが集まっています。そんな場所に設置したNEWTOWN京都オフィスの主要スタッフとして新しく小林瑞紀さんが加わり、丹後と京都市を行き来しながら「ぬかとゆげ」、「五箇-サウナ」のブランディングや情報発信支援をすることになりました。

共創自治区CONCON」は多様な業種のフリーランスや企業が集まる仕事場であり遊び場、地域の居場所でもある

このような経緯の中で丹後に行く機会も増え、ますます丹後が好きになってきた片岡さん。

「CONCONの仲間にも丹後をもっと知ってほしいという思いが募り、2つのサウナ施設の体験も兼ねて、ツアーを企画しようと思い至りました。しかし僕らの会社は旅行業ができるわけではないので、五箇サウナで知り合った丹後リビングラボの長瀬さんに相談して、一緒に開催しようということになったんです」

CONCONツアーでの1枚。片岡さんと丹後リビングラボの長瀬とは出身高校が同じという驚きのご縁も
  1. How 丹後?|共創その①「京丹後の地域プレイヤーと巡り合うCONCON共創ツアー」開催!

2023年5月、NEWTOWNさんが企画し、丹後リビングラボが現地コーディネートをサポートした共創ツアー第1弾「京丹後の地域プレイヤーと巡り合うCONCON共創ツアー」を1泊2日で開催しました。

参加いただいたのは、共創自治区CONCONを拠点に活躍している6名の方々。クリエイティブコンサルティングファームの株式会社Nueさんをはじめ、グラフィックデザイナー、Webディベロッパー、カメラマン、高齢者施設や整骨院のご経営者というメンバーです。

丹後エクスペリエンスさんと八丁浜で海ごみ拾い
てんとうむしばたけさんで、土づくりのお話と野菜の収穫体験

この2日間では、NEWTOWNさんの事業上の企画目的の一つでもある、「ぬかとゆげ」「蒸-五箇サウナ」の体験と改善のためのフィードバック機会を設けることも含め、丹後の地域資源や課題などをCONCONメンバーの豊かな感性で感じ取っていただけることを大事にしてツアーを組み立てました。

【CONCON共創ツアー 1泊2日スケジュール概要】


●1日目

・ぬかとゆげ 見学・サウナ体験

・丹後エクスペリエンス 海ごみ研修・フィールドワーク

・丹後ちりめん織元 田勇機業 見学

・橘商店 買い物

・蒸-五箇サウナ 囲炉裏体験

・KISSUIEN 宿泊

●2日目

・ぬかとゆげ 見学・サウナ体験

・てんとうむしばたけ 収穫体験

・ヒロセ工業 見学、ツアーふり返り

・帰京

ヒロセ工業さんで、丹後のものづくりについて知る

ツアー終了後の参加者アンケートでは、さすがクリエイティブな皆さまだけあって、今後につなげたくなる貴重なご意見をしっかりと記入してくださいました。その一部をご紹介すると、

・「自分で検索して到達できる範囲以上の、人や出来事との出会いが得られた。普通の観光ではない、実際に丹後に暮らす人たちに会って体験できたのが良かった」

・「丹後に友達をつくりに行くツアーだったと感じた。非常に貴重な機会だった」

・「丹後ではキーマンたちの距離が遠いので毎日顔を合わせて意見をぶつけ合うような機会が少ないのを弱点と感じていたが、今回“蒸-五箇サウナ”では地元の若手が交わる機会が生まれていて良い風向きを感じた」

・「サウナ単体ではリラクゼーションとしてのキースポットだと思うが、そこから数ヶ所、旅の目的地を抱き合わせてこそ丹後全体のファン獲得につながる」

丹後エクスペリエンスさんの前で、海ごみからつくったプロダクトと記念写真

ビーチクリーンや畑での収穫、伝統産業の現場をリアルに体感することで心が揺さぶられ、丹後や社会課題を見る目が変わった参加者も複数いらっしゃったようです。

また、クリエイターのお一人はこんなことも感じたそうです。

「自分がクリエイションで何かお手伝いすることができるかどうかを考えた。この地域は誰のために、どんな必要があって、何を伝えていきたいのかをもっと知れたらいいと思った」

そして、企画した片岡さんが特に印象深かったのは、懇親会での皆の体験の熟成だったとのこと。「KISSUIENで丹後の美味しい地酒を飲みながらツアーで感じたことをじっくり話し合えたことによって、参加メンバーの丹後への何かしらの思いや愛着が深まったように感じました」

このような響き合いを地域外のクリエイティブな方々と起こせたことが、このCONCONツアーの一つの大きな共創価値ではないでしょうか。

共創第2弾、「丹後半島サウナツアー」での集合写真。写真:TAKAYAMA | サウナアンバサダー
  1. How 丹後?|共創その② 旅行業界大手企業を含む「丹後半島サウナツアー」へ発展!

そして翌月6月には、このサウナツアーの第2弾として「丹後半島サウナツアー」を開催することができました。丹後でのサウナの盛り上がりに期待を寄せる日本サウナ学会代表理事の加藤容崇さんをはじめ、JALやJR西日本、ヒルトングランドバケーションズの社員の方々など、サウナ業界・旅行業界の錚々たるメンバーを含む10名の方にご参加いただきました。

参加者は、東京、埼玉、千葉、大阪、奈良、神戸、鳥取など広範な地域から丹後に集結。ユニークなサウナが丹後にあることで、全国のサウナファンの旅の目的地になる可能性があることが示されました。

丹後ちりめんのサウナハットを自分の好きな色に染めてお土産に。写真:TAKAYAMA | サウナアンバサダー

今回のツアーでは、5月のCONCONツアーの参加者からのご意見も踏まえ、サウナに入るタイミングを変更したり、お土産も兼ねて「丹後ちりめんのオリジナルサウナハットづくり」を取り入れるなどブラッシュアップ。琴引浜での塩づくり体験や、浅茂川漁港での釣り体験など、新たなコンテンツも加えながら、サウナと旅行に精通した方々と意見を交わし合える貴重な機会をつくることができました。

従来の観光や食だけでなく、サウナをきっかけに、そこから丹後をさらに深く広く好きになってもらうという、地域の新しい切り口とコンテンツを共創できた事例となりました。

日本サウナ学会代表理事の加藤容崇さんは「日本海サウナベルト」なるネットワークができることを期待しているそう。サウナによって新たな人の流入チャンスが生まれる。写真:TAKAYAMA | サウナアンバサダー
  1. What 丹後?|今後の共創に向けて地域内外のプレイヤーが集える場所を

このような2回のツアーを一緒につくらせていただいたNEWTOWNの片岡さんと、「ぬかとゆげ」「蒸-五箇サウナ」のブランディング支援のために丹後を定期的に訪れている小林瑞紀さんに、改めて丹後について感じていることを伺ってみました。

NEWTOWNの片岡大樹さんと小林瑞紀さん

片岡さん:「ふだん東京にいる僕にとって、丹後の方が情報量が多いと感じています。都会の建物一辺倒の景色とは違い、丹後では海や山、空など自然の情報量がものすごい。人と会う時も真剣さをもって濃いめに会える。丹後は“人生を濃く過ごしにいく場所”だなぁと思います」

そんな片岡さんは、そろそろ丹後にも拠点となる家を借りようかと考えているそうです。

小林さん:「“深い人”が多いように感じます。何かを極めていたり、尖った所まで追い込んでいて得意技を持っている。でも閉鎖的ではなく皆が受け入れてくれるし、誰かの課題もジブンゴトとして考えてくれる。そして何より皆さん、丹後を誇りに思っていますよね。田舎で聞かれがちな“ここは景色ぐらいしかないから”などと卑下するのではなく、また“若者はこうあるべき”みたいな押し付けもなく、調和や遊びも上手な人が多い。豊かな地域なんだなぁと感じます」

サウナ施設のブランディング支援や情報発信のため、定期的に丹後に足を運んでいるNEWTOWNの小林瑞紀さん

最後にお二人に、クリエイターにとっての丹後とはどんな場所か、そして今後の共創の可能性について聞いてみました。

小林さん:「丹後は都会を目指している田舎ではなくて、全然引け目を感じずに、 “丹後には丹後の楽しさがある”と思っている人が多いと思います。満たされているのが羨ましくなってしまうくらい。クリエイターにとっては、人と比べて焦らなくていい場所だと思う。適度な距離と広さがあり、下手に都会に憧れずに、プライベートも整えながら仕事もできる場所ではないでしょうか」

小林さんが撮影した丹後の写真

片岡さん:「クリエイターにとって丹後は“何でもできる場所”だと思います。何かやっちゃダメって感じがしない。東京で何かやれと言われたら、路地裏や地下でやらないといけない気がする。大阪ならお笑い、京都市内なら伝統…でも丹後にはそういう制約がない。日本中ロケに行っている僕がいちばん自由さを感じられる地域です。京都縦貫道路のあの一本道が、僕にはいつも“自由への道”に思える。今後のことを言うなら、地域の中に点在している面白い人と、地域外から来る僕らみたいな人が集まって、面になれるリアルな“場所”があるといいと思います。そんな場所を僕らがつくってみたいなとも考えています」

クリエイターや外部人材が自由に出入りできるリアルな場所づくり。そのプロジェクトに、ぜひ丹後リビングラボもご一緒させてください! 2回の共創ツアーを経てご縁が深まったNEWTOWNさんから、丹後を誇りに思う気持ちを改めて思い出させていただきました。

 


Writer & Editor|森田 マイコ

企業でのマーケティングや広報の経験を生かした、人を動かす記事づくりが信条。多くの地域や分野を横断しながら、社会がどこに向かっていくのか探究中。趣味は旅。

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