【アーカイブ】ワーケーション・テレワーク受け入れ研修会 Part.1ー体験コンテンツの作り方・企画の作り方についてー
2022年6月28日、道の駅丹後王国「食のみやこ」情報交流センターでテレワーク・ワーケーション受入れ研修会の第1回目を行いました。
前年度は、受入れ事業者様向けに ワーケーションを推進しているかまいしDMCや、ワーケーシ ョン導入企業を講師に迎え研修会を開催しました。
⇒「テレワーク・ワーケーション ブラッシュアップ研修会」についての記事はこちら
本年度は受入れ事業者のスキルアップや事業計画、PR・ 広報戦略など、テレワーク・ワーケーションを進めるうえでより具体的な内容を体系立てた研修プログラムを実施します。
第1回目は、一般社団法人明和観光商社 代表理事 千田 氏を講師に、体験コンテンツの作り方や企画の作り方についてお話をいただきました。
目次
- 【SPEAKER】
- 1.悠久の平和 よみがえる遺跡とHANAのまち
- ▶一般社団法人明和観光商社 取組について
- ▶コトづくりでモノとヒトの流れを加速させる
- 2.皇學館大学×明和町 産学連携日本酒プロジェクト
- ▶「地元100%」の酒づくり
- 3.最後に
- ▶住んでよし、訪れてよしの地域づくり
【SPEAKER】
千田良仁 氏
一般社団法人明和観光商社 代表理事
皇學館大学 現代日本社会学部 教授
1.悠久の平和 よみがえる遺跡とHANAのまち
▶一般社団法人明和観光商社 取組について
(一社)明和観光公社は、三重県明和町をベースとし、明和町の地域資源を活かしながら、行政、企業、団体、個人と連携して持続可能な観光地作りに取り組んでいます。
明和町は松坂牛で有名な松坂市と、伊勢神宮で有名な伊勢市に挟まれた小さな町で、松坂市や伊勢市に比べると全国的に知名度の低いのが現状です。
しかし、この地は飛鳥時代から南北朝時代にかけておよそ660年もの間、「斎王」が天皇の代わりとして伊勢神宮に仕えるために暮らしており、「斎宮(斎王が暮らすためにつくられた場所)」は幻の都と呼ばれるなど壮大な歴史ロマンがあります。
▶コトづくりでモノとヒトの流れを加速させる
千田さん:
”光を観る”と書く観光において、その光をどのように設定するかによって地域ごとの個性が出てきます。
(一社)明和観光商社では、コンテンツ開発の際に地域特有のストーリーや価値を付けていくことを大切にしています。
また、地域には地域に人が住み着くようになった起源や、文化の発展のために軸となる ”地域のDNA” があり、そのような地域資源を活かした観光地作りが重要だと考えます。
認識していない地域の資源は地域にないのと同様。まずはしっかり認識をすることが最重要です。
【プロジェクト】
・明和町のアニメ「斎王のみち」プロジェクト
明和町の魅力をアニメを通して発信するため、地元のアニメーターと連携しオリジナルのアニメを製作
・神宮ゲートウェイ
~斎宮創生プロジェクト~
今までなかなか観光客が降りなかった斎宮駅を活性化するため、
斎宮→外宮→内宮という新たなお伊勢参りスタイルを確立。
斎宮駅の改修(トイレや待合室を観光案内所にするなどの改修)や、周辺に観光客が立ち寄ってもらえる施設を新設した。
・斎王群行列車 斎王弁当
京都→斎宮を結ぶ直通列車企画
・WILLER株式会社と連携したレストランバス
田んぼや海辺にバスを停めて食事を楽しんでもらうといったユニークなもので、地元飲食店との連携したメニューを楽しむことが出来ます。
・PR列車の運行
斎宮駅を起点としたシャトルバスやタクシーの実証運行
・駅前周辺の活性化イベント開催検証
熱気球、スクリーンシアターを活用したドライブインシアター、音楽イベント、満月屋台(駅前に満月の日のみ屋台を出す)、プロジェクションマッピング 等
・竹神社の活性化 運営サポート
神社建て替えの経費を集めるため、「みんなの花手水」「満月参り」「デジタル御朱印」などを企画
・ヘルスツーリズムによる新たなヘルスケアビジネス創出
海岸沿いでのヨガ、サイクリング、ウォーキング
地域おこし協力隊で入った女性による、日本遺産斎宮の中でのストレッチセラピーなどのヘルスツーリズムを企画し、ヘルスツーリズム認証も取得
・齋藤さんサミット
斎宮は齋藤姓のルーツであることから、全国の斎藤さんが斎王に集まるイベントを企画
・デジタルスタンプラリー、デシダルガイド
アプリを利用して人の流れや客層を把握するためのシステムの導入
2.皇學館大学×明和町 産学連携日本酒プロジェクト
▶「地元100%」の酒づくり
明和町と、全国でも珍しい神道学科のある皇學館大学が連携し、明和町の新たな特産物として誕生したのが「神都の祈り」です。
⇒「神都の祈り」HPはこちら
地元産の水と米、地元の蔵元、地元の米農家が協力し「地元産100%」にこだわっています。
また産学官民連携による、米作り(生産)⇒酒造り(加工・醸造)⇒日本酒販売(流通・マーケティング)という6次産業化の実践を通じて、地域活性化のための人材育成も行おうとされています。
皇學館大学の神道を学ぶ学生達はこの商品販売までのプロセスにおいて、酒米の生産から携わっており、さらには出来上がりまで計4回の祭事を行います。完成したお酒は「皇學館大學×明和町 神に祈り捧ぐ酒」とブランドし販売されています。
他にも、田植えをイベント化することで地域の方にも参加してもらえる仕組みを作ったり、パリでのPR、イギリスでの日本酒セミナーなど海外にも積極的に発信するなど様々なユニークな取組がされています。
このように、神都の祈り造りでは単にお酒を造るというだけではなく、そこから派生した様々な繋がりを大切にしています。
3.最後に
▶住んでよし、訪れてよしの地域づくり
千田さん:
来訪者と地域が長く結び付くためには、来場者の満足度を上げるだけでは必ずしもリピートには繋がらないため、まずは住民が自らの地域を愛し、誇りを持って暮らしていける地域づくりが重要だと考えます。すると、自ずと誰もが訪れたくなる観光地になるのではないでしょうか。
丹後リビングラボでも、今回の明和町の地域づくりの例を参考にして、まずは「地域の方がそれぞれにあった働き方が実践できる環境づくり」を実践していきたいです。
Writer:丹後リビングラボ|岸 あやか