丹後×企業で共創するワーケーション~よりゆたかな働き方と暮らし方の探求へ~
丹後リビングラボとは
京丹後市では新たな事業(自然あふれるビジネスモデル事業)として、「丹後リビングラボ」の取組がスタートしました。
「丹後リビングラボ」は、よりゆたかな「働き方」や「暮らし方」ができるまちづくりを目指し、この地域から都市部企業と地域企業、行政、地域団体など、さまざまな事業者と新たなつながりをつくり、継続的な丹後との関わり方やプロジェクトを創出するチームです。
また、丹後を訪れる方にこれまでの観光よりさらに深く丹後を知り、体験していただくコンテンツを地域の方々や事業者とともに開発するとともに、地域内に必要な仕組みを整えていきます。
目次
- ▶イベント概要
- 1.丹後リビングラボについての取組紹介
- 2.トークセッション①
- ▶対談①
- 3.トークセッション②
- ▶対談②
- ▶終わりに
▶イベント概要
「人々の働き方が多様化しつつある現在、なぜ企業やビジネスパーソンと地域はつながりを創出しつつあるのでしょうか。」
2021年11月29日にオンライン開催したこのイベントでは、その流れに新たな一石を投じる丹後リビングラボの取り組みをご紹介するとともに、先行した事例やビジョンを持つ行政や企業の方をゲストスピーカーにお迎えし、「丹後×企業で共創するワーケーション」をテーマにトークセッションを行いました。
【主催】
丹後リビングラボ:
一般社団法人Tangonian・株式会社インフォバーン・株式会社丹後王国ブルワリー
(京丹後市自然あふれるビジネスモデル事業)
1.丹後リビングラボについての取組紹介
コンソーシアムメンバー体験会
まず初めに、2021年11月8日~11月9日にかけて行われたコンソーシアムメンバー体験会について、1日目を丹後エクスペリエンス八隅さんに、2日目をデザイナー兼アーティストの余根田さんに共有していただきました。
▶Day1
コンソーシアムメンバー体験会1日目は、丹後エクスペリエンスの八隅さんにe-bike(電動自転車)乗車体験やビーチクリーン、またプラスチックのアップサイクルを行うプレシャスプラスチックの工房の見学をさせていただきました。
▶Day2
コンソーシアムメンバー体験会2日目の午前中は、ワーケーション施設として活用予定の「かぶと山虹の家」を皆で見学してワ―ケーション施設のアイデアを出し合いました。
その後は、地域でデザイナー兼アーティストとして活躍されている余根田さんより、「buoy-sign project」という海岸に打ち上げられたブイを活用して地域のお店の看板にする取組についてご紹介していただきました。
ランチは、キッチンカーを利用して様々な場所で丹後の食の魅力を発信されたいというコンソーシアムメンバーのタスナナデザイン 森口さんに、京丹後産の柿ジュースやホットドッグなどを提供していただきました。
午後はコンソーシアムメンバーで株式会社久美浜シーサイド 代表取締役の伊藤さん案内のもと、元旅館へきすい苑の見学をし、今後のワーケーション施設としての活用の可能性について皆でアイデアを出し合いました。
また、久美浜カンツリーを訪問し広大な敷地をゴルフカートで巡りながらゴルフ人口を増やすための取組につて話合いました。
この体験会でコンソーシアムメンバーどうしが互いの事業内容や取組、またその課題について知り、一緒に解決策を考えるきっかけになりました。
2.トークセッション①
【ゲストスピーカー】
京丹後市副市長 濵 健志朗(Kenshiro Hama)
鹿児島県種子島生まれ(1987年)。
文部科学省勤務を経て、2021年より京丹後市副市長に着任。
文部科学省に加え、アメリカやジンバブエにおける留学・勤務経験等を生かし、地方創生に向けて、世の中の魅力も課題も凝縮された京丹後市において奔走中。
大きなテーマは、デジタル技術等も活用しながら、行政、民間、アカデミアはもとより、地方、都市、日本、世界の境界線を曖昧にすること。
座右の銘は学而事人、着眼大局着手小局。
早稲田大学政治経済学部卒、ニューヨーク大学大学院修士課程修了、スタンフォード大学大学院修士課程修了。
株式会社ウエダ本社 代表取締役社長 岡村 充泰(Mitsuyasu Okamura)
1985年繊維専門商社瀧定株式会入社、ヤングレディース向け企画販売を担当。
1994年独立し有限会社エムズカンパニー設立。
縦割りになっている業界に対して、営業代行、貿易業務等を担う。
1999年倒産寸前の建て直し役として株式会社ウエダ本社に入社後、2000年代表取締役に就任、2003年子会社を統合して第二の創業を図り、6年で無借金経営に転換し現在に至る。
2008年創業70周年を機に、価値観の変革を訴えて行なった京都流議定書イベントは、その後もソーシャルイノベーター達の飛躍の場としても継続し、毎年継続している。
2016年女性の働き方の問題に特化した子会社を設立、その社名をutenaworks(ウテナワークス)株式会社とし、2018年より代表取締役社長に就任し現在に至る。
▶対談①
濱 氏:
仕事は都市、観光は地方という縦割りの構造になってしまっていたが、今後は地方でのテレワーク・ワ―ケーションを推進することで、外部資源を上手く取り込み、豊かな自然や多彩な産業・最先端技術が調和した持続可能な京丹後市を実現していきたい。
また、そのために京丹後のどこにいてもテレワーク・ワ―ケーションが出来る環境を整え、一部の地域のみではなく京丹後全体の認知度を上げていきたい。
岡村 氏:
バケーションに重きをおいたワーケーションはただの観光として一過性で終わってしまう可能性があるため、ワークに重きを置くべきである。しかし、せっかく地方に足を運んだのにも関わらず仕事ばかりするのではなく、地域の資産と掛け合わせ、地域の技術や素材を見に行く研修や、ワークショップを行うなどのプロセスツーリズムを企画していきたい。
~地域資源を活かしたワーケーションを丹後から~
与謝野町にある地元に親しまれた元料亭「當里家」をリノベーションし、最近「ATARIYA~Tango Innovation Hub~」として新たにオープンしました。
施設内にはTango Cellarと称した、丹後地域の職人の技術や商品を手に取って見ていただけるスペースを設置。ここを拠点に地域外の方が丹後に親しんでもらうためのゲートにしていきたい。
Q:外側から来られる方と地元の方の縁を深めていくために考えていることはありますか?
濱 氏:地域の方々と一緒に悩みながら外との繋がりを作っていくということです。
京丹後を人々が出入りする場所にしていきたい。そのために窓口(場所や人)を増やしていくことが重要です。
Q:外側の企業が地域で求められている事とは?
岡村 氏:外から来る企業が地域で受け入れられるために、地域内外の企業がそれぞれの強みを活かすことが重要。例えば、地域外の企業は、地域外に持っているリソースを提供するなど。
Q:テレワークの環境を整える上で、ハード面の整備以外のニーズについてどのようにお考えですか?
岡村 氏:テレワーク環境の整備においては、ハード面より「誰がやるか、そこがどのような特色を持った場所なのか」という面を重要視すべき。
Q:ATARIYAを与謝野町に限定せず、丹後全体で盛り上げようとされている理由は何ですか?
岡村 氏:山、海、食全てが揃っている丹後エリアのポテンシャルは素晴らしと思います。なのでATARIYAも与謝野のみに限定するのではなく、海の京都全体で盛り上げていく必要があると考えています。
Q:「丹後リビングラボ」に期待することは何ですか?
濱 氏:ワ―ケーションはワークとライフのバランスを保ちながら行うことが重要だと考えます。
またハード面の整備よりも人脈が重要なので、地域内外で「人と人とを繋いでいく役割」を丹後リビングラボで果たしていただきたいと思っています。
岡村 氏:この事業のコンセプトであるワークの様々な捉え方 “Art work, Life work, Team work” を大切にしながら事業を進めていってほしい。
3.トークセッション②
【ゲストスピーカー】
丹後エクスペリエンス 代表 八隅 孝治(Koji Yasumi)
京丹後市地域おこし協力隊。
丹後エクスペリエンス代表。妻の実家京丹後市に魅了され、2019年に家族4人で移住。
現在、Eバイク(電動アシスト付き自転車)を活用して丹後のすばらしい自然を五感で感じるサイクリングツアーを行う。
また移住をきっかけに海ゴミの問題を知り、丹後の自然をこれからもずっと残していくため、誰でも楽しく参加できる環境活動をモットーに、海岸清掃の企画・運営、講演活動などを行う。
株式会社フロンティアコンサルティング 執行役員 設計デザイン部 部長 兼 ワークデザイン研究開発部 部長 稲田 晋司(Shinji Ineda)
1980年、東京都伊豆大島出身。
建築やオフィスデザイン分野でキャリアを重ねつつ2009年に一級建築士を取得。株式会社フロンティアコンサルティングには2007年の設立時より参画し、現在はプロジェクトフェローとして、企業のオフィス構築や働き方の概念設計に携わる。リサーチ活動としてWEBメディアの運営や、働き方を豊かにするプロダクト・サービスの開発支援を行なっている。
▶対談②
八隅 氏:
自分も海岸清掃を通して地域の方と繋がり、徐々に地域にも受け入れてもらえるようになったので、都市部から来られた企業の方にもお勧めします。
稲田 氏:
「働き方の起点は働く人に」
会社として内装のデザインのみではなく、働き方を豊かにするためのデザインもしていきたいと思っています。
また、今後環境問題や地域貢献など事業活動を通じた明確なアプローチが必要になると思っています。
そこでオフィスという場を活用してどのような発信ができるか?と考え、東京本社の移転を機会に、八隅さんがプレシャスプラスチックの活動の中で作られているペットボトルのキャップを利活用したコースターをタイルとしてオフィスの壁一面に貼っていくことにしました。
Q:プレシャスプラスチックのプロダクトをオフィスの壁に貼るプロジェクトを始めた決め手は何ですか?
稲田 氏:京丹後にワ―ケーションで訪れた時に発案しました。基本的に決め手は3つだと思っています。
①バケーションではなく仕事として行っているので、仕事としてどのような成果を残すかという意識
②良い人と出会えたというご縁
③タイミング
Q:今後の展望や活動を行う上での課題は何ですか?
八隅 氏:自分一人では出来ることが限られているため、企業とコラボして一緒に取り組んでいきたい。
稲田 氏:プレシャスプラスチックで作られた商品を購入するだけでなく、ビーチクリーンの体験や工房の見学を通して協力していきたい。
これをきっかけに海洋ゴミのみでなく都市ゴミについても考えていきたい。
▶終わりに
このオンラインイベントには、地域内の方のみならず、地域外からも様々な方にご参加していただきました。
今回様々な分野で活躍されている4名のゲストスピーカーの対談をお聞きし、改めて丹後リビングラボとして、今後も様々なイベントや企画を通してさらに地域を盛り上げていきたいと思いました。
\丹後リビングラボウェブサイトはこちらをご覧ください/