【レオタニモト×京丹後】 丹後から新しいツーリズム事業を加速! バイク女子向けツアー開発と社員研修を実施
– 丹後ビジネスコラボ Case 01 –
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丹後リビングラボは「都市と京丹後の人や資源が交ざり合う、共創フィールドへ」をコンセプトに、都市部から京丹後へ新たな人の流れをつくることを目指しています。この記事シリーズ「丹後ビジネスコラボ」では、丹後リビングラボが市内のテレワーク環境を持つ事業者や関連団体・行政等と協働して、多様なニーズに対応したテレワーク・ワーケーションプログラムを展開することによって生まれた、市外の事業者と京丹後との共創モデル事例をご紹介していきます。
第1回の共創モデル事例は、同じ京都府内の株式会社レオタニモトさん(京都市)です。同社は関西圏を中心に、二輪車や二輪車用品の販売・メンテナンスを主事業として展開する企業で、近年は新たにバイクによるツーリズム事業にも力を注いでいます。
その新規事業立ち上げの鍵となったのが、2022年6月に丹後リビングラボと一緒に行ったツアー開発のための社員研修と、その後レオタニモトさんが丹後で開催した初の女性客だけのツーリングツアー。レオタニモトさんは京丹後でどんなビジネスチャンスを見出したのでしょうか? 同社専務 松田晋吾さんにお話を伺いました。
1. Why 丹後? バイク女子向けツアーと社員研修実施の理由
まず、レオタニモトさんにはどのような課題があって、丹後での研修やツアー開発に至ったのでしょうか?
日本のバイクブームのピークは1980年代後半〜90年代初頭。当時は二輪車の新車出荷台数が年間400万台を超えていましたが、現在は約40万台。少子高齢化はバイク業界も例に漏れず、愛好家の平均年齢も年々上がり、ここ数年は53歳くらいだったのですが、昨年、初めて平均年齢が下がるという現象が起きたそうです。同時に近年は女性の愛好家も増加しており、“バイク女子”という呼称も生まれ、バイクに乗ることが女性の趣味の一つとして確立してきました。
こうした時代の中、バイクを販売・修理するだけでなく、「バイクの愉しさを伝える」ことを大事にしてきたレオタニモトさんでは、コロナ禍も明けて再び「旅」の需要が高まる機運を察知し、バイク旅専門の旅行会社MOTO TOURS JAPANと提携して、2021年に「MOTO TOURS JAPAN KYOTO」の屋号でツーリズム事業を立ち上げました。
「出荷や販売の台数を追うだけでなく、メーカーも僕らも、人生にバイクがあることで感じられる豊かさを、お客様にもっと体感していただきたいと思っています。日常の足としてはもちろんですが、上質な趣味としてのバイク文化を日本にも根付かせたい。バイクを観光の移動手段として見た場合にも、自然を肌で感じながら遠くまで行けるので、今までとは違うエリアや体験を得ることができます。こうした理由で、ツーリズム事業にはバイクの販売・修理や単純なレンタルバイク事業とは違った新しい可能性があると考えています」
そして、以前にMOTO TOURS JAPAN本部が北軽井沢で「公道デビュー応援ツアーforプリンセス」という女性向けツアーを開催して大好評だったことから、関西圏でのプリンセスツアーをMOTO TOURS JAPAN KYOTOが企画することになりました。「バイクは買ったものの不安があり公道で乗れていない」という女性たちのスキルアップや仲間づくりを応援するのが目的です。
「ツアーのコースやコンテンツ開発はもちろんですが、お客様をガイドするアテンダントスタッフの養成も必要です。ツーリング(バイクで遠乗りする)技術と、お客様をアテンドする技術とは全く別物。その2つを同時に社員研修で行いたいと考えていた時に、京都の観光事業者の集まりで出会った株式会社丹後王国ブルワリーの方から『うちに350台ぐらい車が停められる広い駐車場がある』とお聞きし、走行のトレーニングもできそうだと思い、丹後が候補に上がりました」
その後、京都府丹後広域振興局さまからつないでいただいたご縁で、丹後リビングラボとの共創プロジェクトが実現したという経緯です。
2. How 丹後? 社員研修はツアー開発と走行・接客技術の訓練を兼ねて
1泊2日で実施した6月の社員研修には、8名の社員さんが参加。その年の秋に予定している初の「関西圏プリンセスツアー」のコースを社員自身が体感しながら巡り、その間に安全なツーリングのためのOJTやアテンドのロールプレイング、会場となる丹後地域の自然や食の魅力、歴史のインプットなどを行いました。
丹後リビングラボは、丹後でのプリンセスツアーでどんなルートを通り、どんなスポットを組み込むと女性のお客様に満足いただけるかという視点で、丹後の名所や利用施設、関係する地域のキーマンの方などをご紹介し、ツアーコースの開発に伴走させていただきました。
また、2日間の社員研修で使用する宿泊・飲食施設、走行訓練場所やコワーキング施設などのコーディネートを行い、研修中は現場に同行して社員の皆さまの滞在やプログラムをサポートさせていただきました。
【レオタニモトさま社員研修 1泊2日スケジュール概要】
*2日間の移動はコースの下見を兼ねバイク使用
⚫️1日目
9:25〜11:35 京都市内レオタニモト本店からバイクで出発
高速道路PAで休憩しながら移動
11:35〜13:05 昼食・ブリーフィング(トン’sキッチン)
13:15〜14:45 走行訓練(食のみやこ丹後王国)
15:20〜15:50 休憩・施設の視察(コワーキング施設 かぶと山 虹の家)
16:05〜16:50 休憩・ 観光スポット視察(夕日ヶ浦海岸)
17:15〜17:35 給油
17:50〜18:05 チェックイン(ホテル丹後王国)
18:30〜20:00 夕食
⚫️2日目
8:30〜9:00 ブリーフィング、出発準備(ホテル丹後王国)
9:35〜10:50 休憩・ 観光スポット視察(傘松公園・元伊勢籠神社)
11:15〜12:30 昼食・ 観光スポット視察(伊根町七面山駐車場)
12:40〜13:20 舟屋めぐり
13:55〜14:40 休憩・お土産購入(道の駅 てんきてんき丹後)
14:45〜15:05 昼食・ 観光スポット視察(大成古墳群展望台)
15:25〜15:45 給油
15:55〜16:45 到着・積込・ファイナルセレモニー(ホテル丹後王国)
高速道路PAで休憩しながら移動
19:40 レオタニモト本店着
研修終了後は、参加したレオタニモトの社員さん全員から「研修に参加して良かった」との感想をいただくことができました。アンケートでは、
「初めてお客様の立場でツーリングイベントを体験し、おもてなしを受ける喜びやうれしさが実感できた」
「実際に自分がアテンドする立場になった時にどのようなことを行っていくのかを考えるのに、非常に参考となった」
「観光事業部の仕事が理解でき、これからお客様に提供していくツアーの方向性が見えた」
などのコメントもあり、社員の皆さまは今後のお仕事につながる気づきを得られたようです。
3. What 丹後? レオタニモトさんと共に生み出したものと、その後の事業の広がり
そして2022年9月、いよいよ社員の皆さまにとって本番となる、関西初の「デビュー応援ツアー FOR PRINSESS IN 丹後半島」が1泊2日で開催されました。6月の研修に参加した社員さんの中の2名が、アテンダントとして松田さんと共にツアーを引率。研修で体験したことを生かし、全国各地から参加されたバイク女子の皆さんの、丹後での安全で楽しいツーリングのサポートとおもてなしを行いました。
「参加者の方の多くが遠方からわざわざ丹後に来てくれました。『丹後にはずっと興味があったけど、行くきっかけが無かった』という方も何名かいらっしゃったので、お客様の新しい体験の良いきっかけになれたと思います。丹後は食良し、人良し、景色良し、観光コンテンツ良しで、お客様の満足度も非常に高かったです。道路が平らな所が多く車も少なめで、安心して走れる環境なのも良かったですね。
ツアーで初めて会った人同士ではありますが、バイクにもっと上手に乗れるようになりたいという目標が共通しているためか、女性同士仲良くなって、連絡先を交換したりする姿が見られました。中にはその後も交流が続き、一緒にツーリングに出かけるようになったお客様もいらっしゃいます。こうしたお客様同士のつながりを提供できたこともうれしい成果です」
と、松田さんはこのツアーで確かな手応えを感じたようです。
この丹後でのプリンセスツアーをきっかけに、お客様からは「また開催してほしい」「他の地域でもやってほしい」などの要望がさらに増えているそうです。
また、このプリンセスツアーの内容や反響を知ったバイクメーカーのHONDAさんからレオタニモトさんに声が掛かり、このようなバイクツーリズムの商品開発と実施を協働して行うという展開も生まれました。
「HONDAさんと連携することで集客力が一気に高まりました。HONDAさんがインターネットや顧客アプリで情報公開すると、すぐに申し込みが埋まってしまうほど。丹後を皮切りに、他地域も含め、1年足らずですでに7回ものツアーを開催しています。こうしたお客様やメーカーからの需要と期待にお応えできるよう、この事業を今後も充実させていきたい。
お客様にご満足いただけるツアーコンテンツをつくるにあたって、その地域の人だけが知る場所や人の魅力など、より深く地域と触れ合える体験を用意できることが重要です。地域との共創にさらに取り組み、地域と一体化したコンテンツ提供ができるよう商品開発していきたいと思っています」
と、松田さんは語ってくださいました。
丹後をはじめ、地方の交流人口創出にも大きな力となるレオタニモトさんのツーリズム事業、これからのご発展がますます楽しみです。地域と一体化した魅力を持つツアーコンテンツの重要度も高まりそうですね。丹後リビングラボは、レオタニモトさんのそのようなツアー開発に、これからもぜひご一緒させていただきたいと思っています。松田さん、ありがとうございました!
Writer & Editor|森田 マイコ
企業でのマーケティングや広報の経験を生かした、人を動かす記事づくりが信条。多くの地域や分野を横断しながら、社会がどこに向かっていくのか探究中。趣味は旅。